今回は海外生活者にとっては最高に困ったお話です。
数回前のコラムで学生ビザ延長手続きの為に訪れたエージェントのアドバイスが間違っており「カナダから出国できない。」と、SOSをして来たH子さんのその後の実話をお話します。(本人には許可を取ってあります。)

彼女は10月下旬ハワイへ旅立ち無事に試合も終わりました。
久しぶりにご家族とも再会し有意義なハワイ旅行が終わろうとし明日はカナダに戻るという日、最大の危機がおとずれました。何と・・・・パスポートが有りません。取りあえずは警察に行き諸手続きも済ませ、日本のご家族に連絡をしました。私にご家族から連絡が入ったのはかなり時間が経ってからでした。

「日本に帰る為に出国をすることは問題は有りません。」と、ハワイの移民局で言われたようですが、学校のことも有り日本に戻ることを選ばなかったようです。取りあえず私は本人からの連絡を待つことにしました。

数時間後連絡が入った時には“時既に遅し。”で、彼女は本土のフェニックスから連絡をくれました。色々と経過を尋ねたところ「アメリカの移民局で、とにかくカナダに戻りなさい。そこで説明をして上手く行けば入国する事が出来ますよ。」と、言われたようです。

私は「まず、入国する事は出来ない。即、国外退去になるから何とか数時間でもカナダに滞在させて欲しいと交渉するように。その間に連絡する所には連絡をして、お金と荷物を用意するように。」と、指示を出しました。
その後、連絡が入った時には彼女は再度フェニックスに居りました。
カナダでは“即、国外退去”となったようです。カナダの移民官に言われた事は「ロサンゼルスの日本領事館でパスポートを取得してから来るように。」でした。
ロサンゼルスは彼女にとっては未開の地ですが、取りあえずはロサンゼルスまで行きました。そこでの日本領事館の対応に驚きと戸惑いを禁じ得ず「こんな事で海外で困っている日本人は本当に助かるのだろうか?」と、感じたようです。
ロサンゼルスの領事館職員の言うには「10日~2週間はかかります。どこに滞在しますか。滞在先が決まりましたら場所の連絡を下さい。こちらから連絡が入るまで待つように。」とだけ言われ“宿泊費もなし、地理も不案内で全く何をしにここまで着たのか。”と、思ったようです。

その後は数時間おきに電話が鳴り、その都度指示を出しました。色々な事情によりニューヨークの娘のところに行き、彼の地でパスポートを取得する事に決まりました。到着後即、日本領事館へ行き色々な事情を話した後,領事館職員の言うには「問題なく3~4日でパスポートは出ますよ。宿泊場所は大丈夫ですか。必要なら探しますよ。」と言われ、同じ領事館でもその違いに驚いたようです。

10月31日から始まった北米大陸大移動は11月4日に一応の解決を見ることが出来ました。実際に彼女に起こった事や、私と彼女の間で話し合った事を書きますとどれだけページを使っても終わりが無いほどの事が起こっています。
11月4日の朝5時にニューヨークに到着後、9時を待って領事館に行き、娘の家に帰ってきた後は疲労困憊で24時間以上も眠っていたようです。
今年の3月にカナダに渡りまだまだ英語の不十分な彼女は人生で一番英語の必要性を感じたようです。そして、色々な都市で多くの人たちに助けられたようです。
今朝も電話で話をしましたが、その時に「色々の人に助けられました。余りに多くの人に助けられたので住所等を尋ねる事を忘れていましたが、出切る事なら皆さんにお礼の手紙を出したいぐらいです。」と、元気よく言っていました。

終わってみれば笑い話のように成っておりますが、人の温かさと人の冷たさを一度に学んだようです。皆さんも団体旅行で行かれるにしろ、一人で行かれるにしろパスポートは命の次に大事だと言うことをどうか肝に銘じてお出かけください。 
2005年11月 執筆
注)ブログシステム移動の為、過去の記事を転記