夢を追いかけていた私が居た!

 

出発までに何をすればいいのか分からないまま時間だけが過ぎていきました。

アルバイトと壮行会に慌しく、英語の勉強もできないまま、そして準備もままならないまま出発の前日になりました。東京へはこの日に行く予定をしておりましたので、数日前に銀行へ行き全財産を下しましたが、それでも10万円ほどしか有りませんでした。このお金で1年間暮らさなければなりません。地元でのアルバイトの給料は時給360円、東京で500円でした。 大学卒業の初任給が8万円ほどの時代でしたので、10万円はとても大金でした。

この時代、海外へ行くと言うことは大変な覚悟が居る時代だと言うことはお話しましたが、東京へ行くため家を出るときには母親には泣かれ、その他の家族には今生の別れのような顔をされました。とにかく帰りたいときに帰れるような時代ではなかったのです。

 

私の航空券は半年間有効の日本とロサンゼルス間往復と言うもので、日本に戻るのは半年以内なら何日でも良く、半年以上の滞在の場合は大韓航空に連絡を入れ帰国日を延長していただけばよいものでした。

もし、日本で何か不測の事態が起こり帰国したくてもカルガリからロサンゼルスまでどのようにして行けばよいのか分からないし、毎日飛行機が日本に向けて飛んでいるわけではありませんし、さらにカルガリからロサンゼルス行きの飛行機のチケットがどこで購入できるのかも知りませんでした。

カナダに向かうときにはロサンゼルスからカルガリまでの片道航空券は附いておりました。

 

私だけではなく海外へ出ていく人たちが、例えそれがプロの旅行会社の社員だとしても少ない時代でしたので渡航することに知識が有る人たちは現代のようには居ません。もちろん大手旅行会社にしても海外支店を持っている会社は余り無く、在っても大きな都市、例えばロサンゼルス、ニューヨーク当たりで、情報自体が豊富に入ってくるわけでは有りませんでした。この時代何も知らないことは当たり前の時代でしたので不便さも知識の無さも何も思わなかったのです。今の時代から考えると結構いい加減なカナダ留学だったのかもしれません。何をするのでも先ずは自分で行動しなければならない時代でした。身をもって経験し、良いのか悪いのか、進むのか進まないのかを自分で判断するしかなかったのです。